【映画】陰陽師
平安時代、科学といえば試験管をのぞいたり宇宙船を飛ばしたりすることではなく、暦(こよみ)を読み解き、天文学を学び、妖怪や呪いと戦う、帝(みかど)の名アドバイザー、陰陽師を意味する。
白キツネから産まれたと、いわくつきの、高名な陰陽師、安部晴明を主人公においた夢枕獏、岡野玲子原作の、伝奇ロマン。
荒俣宏(帝都シリーズ)の、おどろおどろしい陰陽道だけではなく、当時の歴史や世情に、あくまでも、人間「安部晴明」を”主”にすえた、ストーリーを、職人監督:滝田洋二郎が、うまく、まとめている。
狂言師・野村萬斎の演じる安部晴明、と、真田広之の演じる敵役・導尊の、”演技合戦”は秀逸。ひとつの大きな見所となっている。
周囲の脇役に、アイドルを配しているものの、主人公や脚本、演出が、しっかりしているせいか、きちんと引き立て役となっており、消化できているのはすごい。
かえって、柄本明や岸部一徳などの個性派俳優が、活かしきれておらず消化不良なのは、なぜだろう。
いわゆる最近の流行の、国産CGに、ワイヤーアクションも、うまく使って、一級の娯楽作品に仕上がっている。