【映画】帝都大戦
日本の歴史をたどると、どうやら先住民族(アイヌ、縄文人)があったところへ、半島から渡来したいわゆる弥生人が国家を樹立し、縄文人を滅ぼした(という表現が適切なのかは不明)という残酷なことがあったそうで、そのやりきれなさや、怒り、悲しみ、恨みの、エネルギーは、マントを羽織った軍服野郎、加藤保憲、として蘇えり、陰陽道を駆使して弥生人の末裔=すなわち、われわれの文明を破壊しようとするのだそうだ。
というようなウンチクはさておき、その破壊の魔人・加藤保憲は、嶋田久作であるというだけで、十分に怖い。
本作は、嶋田久作の加藤で、成功した”帝都物語”の続編を、実相寺昭雄監督ではなく、製作の一瀬隆重が、メガホンを握った駄作。
時は、第二次世界大戦の末期。呪術の研究を続けていた軍の秘密機関は、敵国アメリカの大統領を呪い殺すという作戦をたてていた。
その秘密期間では、ひよわな超能力者、加藤昌也くんが、力を使うたびに、嘔吐し、倒れる毎日を送っていた。
かたや前作で、運命の子だった娘は美しく成長したが、毎夜、魔人・加藤に襲われる夢に冷や汗。
そこに、魔人・加藤。帝都の破壊が目的の加藤なもんで、秘密機関の作戦(敵国の大統領を呪殺)が成功すると、困るもんで、邪魔しに登場〜。
力を使うたびに嘔吐するような、へっぽこ超能力者では、加藤は倒せない。運命の娘よ、目覚めるのだ!
と、なんとなく、よくできた話のようで、どうでもいいところで盛り上がってしまう軟弱なストーリーが、せっかくの、加藤保憲=嶋田久作の存在感を消し去ってしまっている。
スプラッター・パワーはアップ。もはや、陰陽道とは無関係な、サイキック戦で、血しぶきが、ほとばしる。とはいえ、話のパワーのなさと、全体に陰鬱な演出が、加藤の恐怖よりも、第二次世界大戦の恐怖をクローズアップしすぎなのは、いかがなものか。
話の構成上、第二次世界大戦の恐怖を擬人化したものが、加藤であれば、もっと秀作になったのではないかと、残念に思うのであった。
ちなみに、本作の主人公は、どうみても、丹波哲郎である。
(youtubeに予告編が落ちてませんでした!)