【映画】帝都物語
日本最強の悪のヒーロー加藤保憲。安部晴明の末裔を名乗り、陰陽道を駆使し、帝都・東京の破壊をもくろむ。はるか遠い昔、朝廷に刃向かい、東京に第二の朝廷を興そうと、日本初のクーデターを起した 平 将門 の霊を呼び覚ましそうと、言うのだ。
荒唐無稽な暴挙に挑むは、銀行をつくった渋沢栄一、文士・幸田露伴、森鴎外、泉鏡花、寺田寅彦、目のつけどころがシャープな社長や、ロボット学天則、陰陽師・平井保昌たち。しかしながら、結局、役に立たないので、実際に、加藤と戦い、帝都・東京を守るのは、原田美枝子演じる辰宮恵子と、桂三枝。
嶋田久作の加藤が、はまり役で、怖すぎ。
陰陽道というと、いかがわしい呪いのようだが、映画では、サイキックパワーとして扱われており、かなり派手。
登場人物も多く、内容も派手なわりには、脚本と演出が秀逸で、無駄なく、まとめられている。このあたりは、さすが、実相寺昭雄、と、言うべきか。
当時のキャッチコピーは「これが映画だ!」。
娯楽性を重視した反面、そもそも、加藤保憲とは、何なのかが、ろくに解説されておらず、その点は残念。それでも、加藤が、何ゆえ、帝都・東京を破壊しようとしているのか、その理由はわからなくても、とにかく悪いのだ、と、すんなり受け入れられるのも、この作品の、よく出来たところであろう。