【映画】ブレイド
夜な夜な吸血鬼(バンパイア)がうごめく大都会の片隅で今夜も吸血鬼が集まるダンスパーティ(ディスコクラブ)が開催され、事情をよくわかっていない人間の若者が連れ込まれた。ディスコクラブの盛り上がりが絶頂に達し、血のシャワーが降り注いだ時、吸血鬼(バンパイア)を目の敵にしている男ブレイドが現れ、無慈悲に吸血鬼たちを切りつけ灰にしていく。
ブレイドは、人間と吸血鬼の混血として産まれた黒人の青年。その身体能力は人間をはるかに凌駕し、日光を浴びても平気(吸血鬼たちには「デイ・ウォーカー」と呼ばれ恐れていた)で、人間の老人ウィスラーとコンビで、吸血鬼(バンパイア)を次々と殺していくバンパイア・ハンターである。
吸血鬼に噛まれ吸血鬼。純潔種ではないバンパイアのフロストは、古文書から無敵の力を得るという「マグラの書」を発見。解読にあけくれていた。人間と共存し、闇に隠れて生きる吸血鬼(バンパイア)の性を捨て、人間を食らう強者として世界を支配するつもりらしい。
何かと実写化され世界中でもてはやされているマーベル・コミックの一品「ブレイド」を実写化した作品で、恐怖映画というよりはバイオレンスアクション、サバイバルホラーというよりはダークヒーローものである。
世界征服を狙う悪のフロストに対して、それを阻止し人類を守るブレイドというヒーローものを踏襲したストーリー展開が、やや青臭いが、それを超えるブレイドやフロストといったキャラクターと、執拗なまでに描かれる残酷描写、人体破壊、血まみれの真っ赤な画面が本作を魅力的に仕上げている。
とくに、銀の銃弾、杭、ニンニクといった、旧来からおなじみの「対・吸血鬼対策兵器」をスタイリッシュに使うブレイドのアクションと、爆発、焼失、骨まで灰になり消え去っていくCG表現は、かなり度肝を抜かれる。
主人公ブレイドを演じるは、アクション俳優のウェズリー・スナイプス。アクションはもちろん、この荒唐無稽な世界観が実存するかのような見事な演技力で、作品に重厚さを与えている。
対するフロストを演じるスティーブン・ドーフも、ハリウッドのど派手さを嫌ってか、なかなか、こういう作品に登場しないのだが、その徹底した悪役ぶりはブレイドという作品に大きな魅力を与えている。
単にアクション、単に派手なCGというだけでなく、二人の演技合戦も魅力的だ。
吸血鬼(バンパイア)の世界に、バンパイア・ウイルスによる感染という解釈を持ち込み、十字架や祈りによるのではなく殴る蹴る撃ち殺す切り倒すという暴力を持ち込んだPG指定作品。
筆者のオールタイムの一本。ホラー、オカルト、暴力。3本揃った桂作である。
ブレイドとウィスラーが、人類の平和のためではなく、非常に個人的な恨みで吸血鬼と戦っている・・・というよりは、恨みつらみで目の敵にしているという設定も二重丸だ。