【音楽】トーマス・ドルビー
テープに録音した短い音を、繰り返し鳴らすと、独特の響きがある。これが機械的に電子的に発展するとPCM音源とか、サンプラーということになる。テクノにあって、ニューウェーブかつポップなミュージシャンで、サンプリングというキーワードだと、まず想い出すのがイギリスの「トーマス・ドルビー」だが、いかがなもんだろう。
「彼女はサイエンス」のヒットで知られるトーマス・ドルビー。
なんでドルビーなんだろう。音響システムのドルビーなんだろうか。いろいろ考えたりもしたが、本当に、音響システムのドルビーだったりして、訴訟沙汰まで起こっている(和解している)。
原則的にシンセサイザーな電子音楽の御仁で、サンプリングを多用するサウンドメイクが特徴。
音楽的には、たぶん、ニューウェーブと呼ばれるジャンルだったりするので、ポップスではあるけれども、少しマイナーな要素があったりして、ビルボードチャートを駆け上がったりはあまりしてないように思う。(とはいえ、彼女はサイエンスはビルボードを駆け上がったりしてたが)
筆者個人としては、トーマス・ドルビーの音楽は、あまり好きではない(笑)
好きではないが、ボーカリストとしての彼の声・歌い方が大好きで、「ハイパー・アクティブ」について評価が高い。日本語に訳するなら「めちゃくちゃ元気」とでもなるのだろうか。ジャケットも、何が言いたいのかさっぱりわからない(笑)。
のっけから、TV番組から録ってきたようなオーケストラヒット風のサンプリングで始まり、全編、「生ベース」を黙殺したかのような、チョッパー奏法のベースが、けたたましく暴れまくる。そのベースラインは、あえてそうしているのかは知らないが、リズムとルートを黙殺したかのような、わけのわからない機械的なもので、実に、こういうところが筆者が、トーマス・ドルビーの音楽をあまり好きではない理由だったりする。
ところが、歌になると、魅力的な中低音の響きで、ちゃんと歌っている(笑)
この手のバンドやミュージシャンにありがちな鼻歌というか、てきとうというか、歌として聞くには、ちょっとつらいボーカルではなく、きちんと複式呼吸で歌っていたりする。
ここまでちゃんと歌えるのだから、バッキングの電子音楽は、もうすこしシンプルにしても良いのではないか。そういう風にさえ思えるのだ。
日本の坂本龍一とのコラボで「フィールドワーク」(農作業とでも訳せばいいのだろうか)という曲を発表していて、こちらは、シンプルな坂本バッキングで、ボーカル曲として心地よい。