【音楽】ジューシー・フルーツ
何かとYMOと絡んでいた近田春夫が80年代直前に結成したバンドがジューシー・フルーツである。
デビュー曲「ジェニーはご機嫌ななめ」が、デビューしたと同時に大ヒット。テクノだったからというよりも、フロントのギター兼ボーカルが全編ファルセット&ウィスパーボイス(つまり鼻声)でロボットのように歌う斬新さがウケたのかも知れない。
筆者的には榊原郁恵のROBOTに続くワザとらしい機械人形のフリをしたパフォーマンスであまり好きではないのだが、初期テクノ歌謡に数えないわけにはいかないテクノ歌謡の桂作である。
どの紹介記事も「日本のロックバンド」となっているので、たぶんジューシーフルーツはテクノバンドではなかったのだろうと思うが、プロデュースした近田はテクノな歌謡バンドのつもりだったような話をどこがで聞いたような記憶がある。当時のテクノの認識は、ともかく変な電子楽器を使っていればテクノと呼ばれていた気もするので、ロックかテクノかと言われると大変微妙な問題ではあるが、しかし、その後の活動を観ていると、テクノ・ロックというよりは歌謡曲のような気もしたりしている。
筆者は、どちらかというと、このテクノ風味な「ジェニーはご機嫌斜め」よりも、夢見るシャンソン人形のカバー「夢見るシェルター人形」の方がお気に入りだ。
タイトルから想像できるとおり、かなり過激な内容で、たとえば今なら間違いなく放送禁止・廃盤となる歌詞の本作は、演奏こそ生バンドっぽいが、むしろ思想・精神的にテクノで取り上げられる範疇の題材で、ボーカルのイリアも鼻声ではなく低めの地声で熱唱しており、たいへん好感がもてる。
ぜんぜん関係ないが、筆者は、このシャンソン人形なり、シェルター人形を口ずさむと、知らないうちに、山ねずみロッキーチャックの「だ〜れかに、だれか〜に聞いといで〜 ひっそり松の葉のかげは・・・」になってしまうのだが、どうにかしたいと思いつつ、かれこれ20年以上、このままである。