★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】パッション

f:id:tsuchinoko118:20110822174708j:image:left:w220邦題は「パッション」情熱という意味だが原題は「The Passion of th christ」キリストの”情熱”と言いたいところだが、伝統的にこれは「受難」という意味。

「キリストの受難」文字通り、おそらく世界で一番有名な人物キリストの最後の12時間、つまり、最後の晩餐後、捕らえられ、突き刺されるところまでの壮絶な最後を、当時の言葉で再現(?)した、まさしく”宗教映画”。

監督はマッドマックス〜リーサルウエポンのアクション俳優だったメル・ギブソン

聖書に基づいて、さまざまな歴史研究書を参考に脚本を書いたそうで、いちおう事実ということになっている本作は公開当時R−15指定でも、おかしくない、PG12指定であった。

訳者による差はあれど、聖書の”最後の晩餐”以後のキリストは、殴られ蹴られ、ツバをはきかけられ、愚弄され、はりつけにされ、ヤリで串刺しにされる、壮絶な最期である(後に復活するので最期という言い方が良いのかどうかわからないが)

本作では最新のVFXをつかって、その壮絶なリンチ(私刑)を、丁寧に、それはそれは、しつこいくらいに、細部にわたってまで描いている。

鞭打ち刑のシーンでは、15分以上も、ただひたすら、延々と、キリストが鞭打たれ、肉片が飛び散り、血まみれになる。へたなスプラッター作品よりも、おそろしいくらいの、痛々しさだ。この痛さは SAWシリーズ以上で、観ていられないほど、というのがピッタリ。


f:id:tsuchinoko118:20110822174709j:image:right:w220聖書という書物が言い残したことが、ストーリーだと言いたげに、映画そのものではストーリーはないに等しく、ひたすらリンチシーンで埋め尽くされているが、監督が言いたかったことは何なのだろうか。なぞが残る。

この痛みをしっかりと観よ。耐えろ。

そう言ってるのだろうか。

いずれにしても、聖書に詳しい方でないと、さっぱりわからない映画だ。
聖書に描かれた「受難」のストーリー、意味を知らなければ、最初に登場した目つきの悪い人物が何者で、いきなり捕らえられ暴行を加えられる男が何者で、どういう事情があるのか、さっぱりわからない。

本作を観て、さっぱりわからなかった方は、ぜひ、聖書に触れてもらいたい。探せば、ご近所にたくさん教会がある。

聞きかじりの「十字軍」「免罪符」「ルターの宗教改革」「米国=キリスト教国」というような、”聖書”・”キリスト教”とは何の関係もないようなことだけでは、不十分だ。この殴られ蹴られツバを吐きかけられる男が何者で、いったい何をしに現れて、何の因果で理不尽なまでに、こんなにボコボコに殴られ最終的に殺されるのか、ぜひ知って欲しい。

俳優の演技は重厚そのもので、キリストの最期という題材に相応しい見事なもの。題材がキリストであるということも手伝って、何度も何度も観たくなる不思議な魅力のある作品に仕上がっているが、しかし、ひとことで言ってしまえば、2時間近くリンチシーンが続くホラー映画である。