★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】オーメン

f:id:tsuchinoko118:20110726121924j:image:left:w220新約聖書の最終巻「ヨハネの黙示録」から「そこに知恵あり。獣の数字”666”」という節が一躍有名になった。猟奇殺人、アンチキリストというテーマから「エクソシスト」に次ぐ大作として名高いが、エクソシストが「善と悪の戦い=信仰とは!?」であるのに対して、こちらは「新しい切り口のオカルトアクションホラー」で、わりと単純な作りだ。

主演は、名優グレゴリー・ペック。競演にリー・レミックと、若いデビッドワーナー。監督は、リチャード・ドナー。”スーパーマン”や”リーサル・ウェポン”のヒット作で有名。後のブレイクのきっかけとなったのは、本作「オーメン」である。(この点でも、やはりアクションなのだ)

ある年の6月6日午前6時。二人の子供が生まれた。一人は、ソーン氏の息子。もう一人は、誰かわからないが、ソーン氏の息子は、生まれてすぐに死亡したため、この誰かわからない子を、彼の子として引き取る。
順風満帆な出世をつづけ、ついには駐英大使に任命されるソーン氏。この時から悲劇は訪れる。周囲に次々と起こる奇妙な”人の死”。。。ヤク中の神父は「あなたの子供は、山犬の子。悪魔の子だ」と告げる。

f:id:tsuchinoko118:20110726121923j:image:right:w220神の子イエス・キリストになぞらえて、悪魔サタンの子ダミアン。安直ではあるが、わかりやすい恐怖を描くには適した題材だ。

派手な殺人シーンも多いが、あくまでも精神的な恐怖という演出が大切にされ、全編、陰鬱なつくりとなっており好感がもてる。音楽は、ジェリーゴールドスミス。アカデミー賞をとっているが、個人的には、ゴールドスミスの音楽は自己主張が激しく好きではない。

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残念なところは、ヤク中の神父が、ソーン氏に「やつ(あなたの子供)の母親は山犬だ!」のシーン。劇中「I SAW ITS MOTHER」「I SAW ITS MOTHER」「ITS MOTHER IS JA!!!!」で、警備員が入ってきて言葉がとだえる。「やつの母親は!」。そこで言葉が遮られ、見ている側は、「あの子供の母親は、いったい!? 神父は何を見たんだ!?」と、気になる演出のはずなのだが、なぜか、邦訳は「山犬だ!」までしっかり字幕に書き込んである。いきなりタネアカシをしてどうするのだ。

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大ヒットをとばして、続編として、2、3とあるが、やはり、この1作目が完成度が高い。「聖書」を題材にしてしまったがゆえに、話が進めば進むほど、悪魔は滅ぼされていく運命で、はじめから決まっているため、「オカルトホラー」の作風を維持していくのは困難なのだ。このあたりは、また後日。

先日、この1作目のリメイク版が登場した。
主演にポール・シュレイバーは良いとして、演出が綺麗すぎて、わざとらしく見える部分が多く、やはり雑然とした本作の方が筆者的には好みだ。
↑このヤク中の神父の熱演を見よ!(笑)