【映画】エクシスト ビギニング
よくわからないが「ビギニング」ものが流行していた時期がある。リメイクではなくビギニング。ハリウッドも「新しい作品」を創ることができなくなったか、ネタ切れか、ほとほと心配したが、名は「ビギニング」で過去のヒット作品にあやかってはいるものの新作には違いない。この点、リメイクよりは親切なところだ。
筆者のもっとも好きな映画「エクソシスト」にもビギニングが製作され公開された。
「エクソシスト・ビギニング」がそれだ。
第一作で悪魔パズズと戦い死んでしまったメリン神父の若き頃を描く。なるほど1作目で「昔、アフリカの少年に悪魔祓いの儀式を行い死にかけたことも・・・」と紹介されていたメリン神父の「昔、アフリカの・・」を描こうということである。
これについては、第二作目にも、ほんの少しだけ登場する。若い(メイクなしの)マックス・フォン・シドーが、探検隊のよう格好でアフリカらしい場所で悪魔祓いをしているようなシーンが、わずかに出てくる。ただし、これは”想像”の中だったりするので、正式に「昔、アフリカの・・・」を描いたわけではない。
本作、4作目の「エクソシスト・ビギニング」では、このあたりを描く。
とはいえ、キャラクターの名前が一致しているだけで、基本的には「統一された世界観の連続した話」というわけでもないので、単発で観ても大丈夫。このあたりが、エクソシストシリーズの親切なところ。
公開当時は、アクション監督のレニー・ハーリンだったりして、正直言って、あまり、期待していなかった。しかしながら、なかなかどうして、ちゃんと、正統派エクソシストのストーリーを守り、グロ画像も活用しながら、最後に、きっちりとオチをつける。
設定など細部も、歴史をよく調べてあるようで、製作サイドの、マジメな気合が、伝わってくる。
ひとことでまとめてしまうなら、主人公メリン神父が、ナチの無慈悲な行いを実体験し、信仰心をなくしてしまい、目覚めたサタンと出会い、戦いを避けられなくなり、ついには再び正義に目覚め、信仰心を取り戻していくさまを描いた作品。
演出・俳優・脚本とも、意外に最高で、見ているものを虜にする。
と、ベタベタに褒めてはいるものの、「ホラーアクション」であって、「オカルトホラーSF」ではなく、これがエクソシストなのか、というと、そこは「いえ、ホラーアクションです」としか言いようがないのは残念。時期的に、走るゾンビやバイオハザードなどのホラーアクションゲームがはやっていたこともあり、CGやスピードで”お化け屋敷的”な、「どうだ怖いだろう」が目立つが、そこはまあ、いたしかたがないところ。本質的には、神と悪魔の戦い。信仰とは何か。信仰に生き、信仰に死ぬとはどういうことか。を、非常にまじめに描いているので、筆者的には良心的な桂作ということにしている。
その証拠に、メリン神父、かっちょえ〜、とか思ってますもんね。