【映画】エクソシスト3 LEGION
エクソシスト2に不満をもった、原作者のウイリアム・ピーター・ブラッティが、自ら脚本・監督をこなした「正統な」続編。
主演は、ジョージ・C・スコット(キンダーマン警部)。1作目でカラス神父を演じたジェイソン・ミラーが、患者X=カラス神父役で再演。ブラッド・ドゥーリフが、カラス神父に取り付いた悪霊(ふたご座殺人犯ジェームス・ベナマン)役である。ちなみに、どうでもいいことだが、このブラッド・ドゥーリフは、チャイルド・プレイで、チャッキーに乗り移った殺人犯人である。怒り・憎しみのまじった呪術の叫び、この人、うまいねぇ。
全体的にハードボイルドでオカルト・ホラーっぽくはなく、猟奇殺人事件のナゾと、シリアル・サイコ・キラーを追う刑事ドラマ、という印象である。90年代は、サイコキラーものの映画が多かったが、その、ハシリと言ってもかまわない。芸術的な猟奇死体。静と動の極端な演出。この手の作品を見慣れた者の、度肝を抜く展開が多く、おどろおどろしい陰湿な雰囲気に、背筋が寒くなる。さすが、正統な、を名乗るだけのことはある。
連続猟奇殺人事件のナゾを追いかけていたキンダーマン警部は、自分が殺人犯だと名乗る精神病棟に隔離された男と出会う。その男は、なんと、15年前に階段から転がり落ち死んだはずのカラス神父だった。カラス神父には、Legion = 多勢 の サタンが乗り移っており、今も、カラスの心を生かし続け、苦しませているのだ。サタンの居所を知り、追いかけてきたモーニング神父、そして刑事は、命をかけて、サタンと戦う。果たして勝てるのか。カラス神父を救うことができるのか。
エクソシストらしく、正義と悪との戦いを描いている。2作目が複雑な善悪論を描いていたことに比べると、本作は、確かに「正統な」作品。一作目に回帰して、善悪と「贖罪」について緻密に描かれている。
そして衝撃のラスト。
つまり本当の正義とは。
悪に打ち勝つこととは。
信仰とは。
すべてが、明らかになり、天へと誘う賛美歌に迎えられ、終幕。見終わったあと、永かった善と悪の戦いに(一時的にせよ)終止符が打たれた、と、感動を味わうことができる。
必見。