★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】エクソシスト2-The Heretic-

f:id:tsuchinoko118:20110717075447j:image:left:w240オカルトホラーSFの金字塔エクソシストシリーズ第2弾。THE HERETIC = 背教 というサブタイトルがついている。

あれから4年。事件の調査を命じられたラモント神父は、リーガンと接し、彼女の中に、まだサタンがいることを知る。メリン神父は、悪魔祓いに失敗していたのか? ラモントは、メリン神父が以前サタン(パズズ)と闘ったというアフリカに、真相を求め、調査に旅立つ。

前作(W・フリードキン監督)に比べ、脚本、演出、演技ともダメダメで、凝ったグロテスクシーンも殆どないことから、製作者サイドにも、また原作のWPブラッティにも、さらには、観客からも「失敗作」のブーイングを受けた。

オカルト・ホラーと思えば、たしかに失敗作ではあるが、純粋に見ると、正義と悪という問題を正面から問うた、ちょっと変わったSF作品であることに気づく。

f:id:tsuchinoko118:20110717075503j:image:right:w240主人公ラモント神父が、正義に近づこうと思えば思うほど、悪=すなわちパズズの羽根に触れることになる。人間=ラモントには、悪の羽根に触れずに正義に近づくことはできないのだ、という現実。しかし、真の正義(コクモ)は悪に一切触れることなく正義をつらぬくことが必要と説く。それは不可能であるかのように思える。このあたりが THE HERETIC(背教)というところだ。

悪の象徴であるイナゴの群れの中、周囲の騒音の影響を全く受けない種が生まれ、それは正義の象徴であり、希望の光は見える。その種を育てていけるか、どうか・・・それは、人間の心次第である。悪の中であるからこそ、生まれる正義。悪のない純粋な正義は、存在しないかのように思える。

単純な「善」「悪」の二元論が支配するキリスト教に対し、この複雑な善悪論・・・まさに、背教であるが、はたして、それは「悪」なのか?

抽象的な表現ではあるが、エクソシストという作品のテーマが、正義と悪との戦いであり、前作エクソシストが、秀作であるならば、本作もまた、続編の名を借りた、別の秀作と言える。

f:id:tsuchinoko118:20110717075504j:image:left:w240大好きな女優さん=ルイス・フレッチャーも出てるし、前作のテーマ曲、チューブラーベルズ(マイク・オールドフィールド)に対抗し、しっかり、対抗できている本作のBGMは、巨匠エンリオ・モリコーネ。このアフリカの民俗音楽も、本作用に作曲したっていうんだから、すごいもんですよ。
ダースベイダーの声でおなじみのジェームズ・アール・ジョーンズの イナゴ大王(笑)の扮装も必見!