★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【音楽】戸川純

f:id:tsuchinoko118:20110716090539j:image:left:w230かつてチェリオという飲料メーカーからスィートキッスという清涼飲料水(ジュース)が販売されていた。そのCMに起用されたのが「ゲルニカ」というバンドというかユニット。昭和初期の歌謡曲を模した「改造への躍動」からの1曲「銀輪は唄う」が採用され、その中で声楽を学んだ戸川純らしい歌声を聴いたのが、筆者の戸川純の最初の出会いであった。当時、SONY MUSIC TV という海外の PV を流す番組が、日本の深夜テレビで放送を開始され、新しい音楽というか、潮流がもてはやされていた頃でもあり、その中で「昭和歌謡」を持ち込むのは、それはそれで、ちがう意味で斬新な音楽でもあった。

その後、ウォシュレットのCMで「不思議ちゃん」として人気を博す戸川純。女優であり歌手でありというタレント活動を展開していく。しかし、なんと言っても戸川純は「歌手」でありミュージシャンである。
戸川純名義の「玉姫様」も、よくぞ放送禁止にならないものだと思ったが、ともかく変な歌が多い。いわゆる恋だ愛だ好きだ嫌いだみたいな個人的感想を歌う一般的な楽曲よりも、処女だ、オタクだ、という生々しい題材が多いのは周知のところだ。一説によれば、椎名林檎と似ているという話もあるが、さてさて戸川純戸川純だ、と筆者は思っている。

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楽曲としては「玉姫様」「バーバラセクサロイド」あたりも著名だが、「レーダーマン」という曲が印象的であった。歌詞の登場人物が精神病院に入院させられロボットがこの世を支配しているという、よくわからないシチュエーションの歌詞で、もともとは、サエキケンゾウ所属の「ハルメンズ」というバンドからの拝借・カバー。当時のシングルレコード、シングルCDでは、A面「レーダーマン」と、B面「母子受精」(こちらもハルメンズのカバー)の形で発表された。戸川純のデビューシングルということになっているようだ。(活動形態が多岐にわたっており、どれがデビューなのかよくわからないが、戸川純名義ではデビュー曲ということらしい)

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筆者的には、レーダーマンもさることながら、B面の母子受精がお好みである。わりと単純なメロディラインに、牧歌的な歌詞と、抑え気味の戸川純のボーカルが乗る。

「夕闇 駆けおりる遥かなビルの影
 立ち並ぶ団地に灯がともる
 すれちがった子供はガラス玉の目の光
 ぬり終えた娘が泳ぎだす
 抱きとめてやるさ
 産み落とせ街の落とし子 母の街をかけろ」

さて、意味深な歌詞。ハッキリとは言わないが、けっこう危ない内容である。

はたして、妹君の自殺事件から、しばらく休養していた戸川純だが、いまも「戸川純とヤプーズ」を率いて活躍中だ。声楽を学んだロックでパンクな戸川純椎名林檎よりどちらというと、和製パティスミスのような気がしてならない。