★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】エスター(R15)

f:id:tsuchinoko118:20110704085001j:image:left:w220赤ん坊を死産で亡くしたショックから、なかなか立ち直れない夫婦。ジョンとケイト。ふたりは、心の傷を癒すため、養子を迎えることにする。

孤児院で出会った聡明そうな絵の上手な女の子エスター。
夫婦は彼女を引き取ることにした。

少し風変わりなエスター。いつも、首と手首にリボンを巻き、おとぎの国の様な服装で、風呂に入るときは鍵をかけ、聡明というより、ませている。ませているというよりは、あたかも成人のように達観している。

ある日、夫婦が全裸でセックスをしているところを見てしまうエスター。

エスターが見てしまったというより、夫婦のセックスを見られてしまった。。といった方が正しい。「ただのファックでしょ?」と、冷たいまなざしを投げかけるエスター。ケイトは、エスターが「ただ、風変わりなのではなく」、得たいの知れない違和感を感じはじめた。

「この娘、どこか変だ」

そんなとき第一の小さな事件が起こる。いつも、おとぎの国の様な服装をして、リボンを巻いていることを、からかっていた同級生の子が、すべり台の上から、突き落とされ重傷を負う。


f:id:tsuchinoko118:20091020025236j:image:right:w220ある日、エスターのいた孤児院のシスターがやってきて、エスターが昔いたとされる孤児院に記録がないのを不審に思い、「気をつけるように」夫婦に忠告する。その直後、シスターは、ハンマーで殴り殺される。エスターによって。淡々と殴り殺すエスター。何度も何度もシスターの頭を殴り、飛び散る血しぶき。その後、エスターは、自分の敵を容赦なく、ワナにハメていく。

エスターの異常に気づいたケイトは、エスターの過去を調べる。
「まえにいたはずの」孤児院は、孤児院ではなく、精神病院だった。


実は、エスターは ○○○○○○で ○○○○の○○○○だったのだ!!!(ネタバレなので言えない)

ケイトが家に帰ると、すでに、夫のジョンは死体になっていた。

ケイトとエスターの戦いが始まる。

凍った湖の上で、もみあう二人。そして、湖の氷が割れ、エスターが落ちる。「ママ・・・たすけて!」そういうエスターに蹴りを食らわすケイト。エスターは、湖に沈んでいった・・・・・


f:id:tsuchinoko118:20110704085002j:image:left:w200ホラーという話だったので期待していたのだが、サイコ・サスペンスであった。ただ、○○○○で○○○○だったエスターの正体のアイデアは秀逸だし、こういう一発ネタの作品は、この「○○○○」の部分を知ってしまうと、まったく面白くなくなってしまうのが通例だが、本作は、主人公エスターを演じるイザベル・ファーマンの演技がたいへん良く、無表情に人をバンバン殺し、冷たい目線で相手を見下すところなんか”すごみ”さえ感じるので、何度も見て楽しむことができる。

エスターを引き取る親父の方が、どこかで見た顔だなぁと思ったら、K19で、役立たずの若い技師を演じていたピーターサースガードであった。最後の最後、殺されるまで、エスターは、可哀想な孤児で、ボクの愛情が必要なんだ、とトボケタことを言っているのが、本作をよりいっそう引き立てている。

ジェイソンやフレディやゾンビやドラキュラが襲ってくるわけでもない。

サイコキラーが殺しに来るのでもない。

サタンや、スピリチュアルな何かが出てくるわけでもない。

誰が見ても愛らしい孤児の女の子が、頭脳戦で、淡々と一家を破滅に追いやっていく。 じつに淡々と、人を殺し、ハメていくのだ。

本作を「面白くない」と誰が言えようか。

ホラーとは言い難いが、一級のサスペンスムービーなのである。