【音楽】米米クラブ
80年代後期〜90年代に世間を騒がせていたバンドというかパフォーマンス集団「米米クラブ(こめこめくらぶ)」というのがいた。何かと、妙なバンドが多く輩出されていた時期で、彼らもまた、その中に登場した妙なバンドの1つである。
当時はようやくMTVという海外の音楽情報番組が日本でも放送され、いわゆるPVが作られメディアに流れる文化が登場したかしていないかの頃で、まだまだ「テレビ」がマスメディアの中央にどっしりと君臨していたりした。
「テレビ」では、アイドル歌謡曲が全盛。そんな状況の中で、「KOME KOME WAR」という、わけのわからない曲がスマッシュヒット、一躍人気者になった。
筆者がおすすめするのは、その「K2C KOMEKOME WAR」ではなく、その前作にあたる「KOMEGUNY」(米国)。
KOME KOME WAR ほどではなかったが、SURE DANCE、そして今もカラオケで歌い続けられている浪漫飛行が収録された名盤。本来、ホーンセクションを背後に生のライブ感を前面に押し出したバンドだったが、時代の流行というか、出遅れたアレンジというか、めずらしく「打ち込み」を主体にした作品で、テクノのお手本のような曲で埋め尽くされている。
印象としては、デビュー当時、キワモノバンドで、ブレイク後も、キワモノバンドのイメージが強かった”米米クラブ”が、はじめて、そして唯一?マトモな”作品集”アルバムを作った、という意味では転機になった作品。
キワモノの象徴=ジェームス小野田は、いつもの奇声や絶叫は抑えて、きちんと歌ってるし、ダダイズム主義?カールスモーキー石井の、そのイケメンぶりを前面に押し出し、ホーンセクションも抑え目で、「かっこいいテクノ歌謡曲バンド=コメコメ」を演出している。
音楽的には、あいかわらず、いろんな音楽の要素が詰まっているものの、全体的には、シンセサイザーにシンセベースで8ビートと、あたかも去り行く80年代へ敬意を払ったかのような「80'sディスコ・エレポップ」の様相を呈しており、それまでの、ハチャメチャぶりからは、一転、統一感がある。
当時は、このまま、かっこいいバンド路線を行くのか?とも思ったが、この次は、またハチャメチャに戻って、KOME KOME WAR のヒットを放ち、以降、そのまんまの路線で、突き進む。その意味では、本作「KOMEGUNY(コメグニ)」は、”米米クラブ”してない”米米クラブ”めずらしい一枚ではある。
筆者の青春の一枚。
中古CDを探すと、けっこう落ちてるから、みなさん、このCDを大事にしていたのですね。あるいは、ずっと売れずに流れているのか(笑)
かれこれ20年前の作品である。