【映画】ザ・フライ
スキャナーズを経て、デビッド・クローネンバーグを一躍有名にした堂々のメジャーヒット作。配給は20世紀FOXよ。
新発明の物体転送装置(テレポッド)での実験中、不幸にも紛れ込んだハエと一緒に転送されてしまった若き天才科学者セス・ブランドル。最初は実験に成功したかに思えたが、次第にブランドルの身体に異変が生じる。歯は抜け落ち、爪は剥がれ落ち、髪も抜け、皮膚は癌化する。偶然、セス・ブランドルを取材することになり、恋人関係にまでなった女性新聞記者ベロニカは、どんどん凶悪化するブランドルに恐怖をも感じつつも、その身を案じ・・・
「はえ男の恐怖」のリメイクということであるが、クローネンバーグ節が、至るところに・・・どろどろぐちょぐちょの「化け物」中に、どろどろぐちょぐちょの人間関係。単に「怪物」と恐怖、それを倒すなり逃げるなりだけの”お化け屋敷”作品ではない。
とはいえ話題は、やはり、ハエ男の変身シーンだが、これは、スキャナーズで脳みそボーンをつくった、クリス・ウエイラスの仕事。よく、こんな、複雑で気持ち悪いもの、思いつくなぁ。でも、やってると楽しそうでもある。
(クリス・ウエイラスは、本作の続編「ザ・フライ〜二世誕生〜」の監督をしている)
一見、怪物の登場する恐怖映画だが、その奥底には、緻密な心理描写があり、重厚な人間ドラマとなっている。
ヒロイン・ベロニカ役のジーナデイビスが好演。ラストシーンでの、彼女の運命は、涙なしでは見られない。
恐怖映画のような形態をとっているが、これは、あくまで、ラブストーリー。恐怖映画ではなく恋愛ものなのだ。