★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】ファニーゲーム と ファニーゲームU.S

f:id:tsuchinoko118:20110512193726j:image:left:w260ある家族が別荘地に休暇に行く。
行った先で、白い服の若者が二人、たずねてくる。
卵をください。

しだいに、若者は、ずうずうしくなり、ある瞬間から、暴行をふるいはじめる。
そのまま、暴力行為はエスカレートしていき、
気がつくと、ライフルで、家族の幼い子供を撃ち殺していた。

しかし、何事もなかったかのように、若者は、次の暴力へ、次の暴力へ。
物語は、なんの救いもなく、そのまま、家族が皆殺しにされる。

そして、隣の家に、若者らは移動し、「卵をください」


ただ、これだけの作品。

しかも、US版という、第二作目は、同監督、同脚本、同じカットで、ただ違う俳優で
撮りなおすという、何がしたいのか、よくわからない作品。

監督は、ミヒャエル・ハネケ

氏いわく「暴力は不快なものだと再確認してもらいたかった。」とのこと。


驚くことに、このコメントに対して、「(自分が思う)正義の暴力は、かまわない」という
コメントが、つけられているサイトを結構たくさん目にする。

作中の家族に暴力をふるいつづける若者も「自分が思う正義で暴力をふるっている」

それは、”不快だから”、暴力で拒否しているのではなく、

”暴力を肯定し、暴力に依存し、暴力を愛し、勝ち誇る喜びをもって、相手を悪党と見下している”姿が、そもそも「不快」なのである。

若者の立場にとっては、正義の暴力。

しかし、家族にとっては、理不尽な恐怖。

そして観客である、わたしたちにとっては、理由無き無差別殺人。
ゲーム感覚のシリアルキラー。


本作は、正義の暴力など存在しないことを、強く訴えかけてくる。

そして同時に、むしろ、純粋な「人の欲望」であることを、描いている。


US版の、家族は、おとっつぁんが ティム・ロス。おかっつぁんが ナオミ・ワッツ
若者の1人が、ハマリ役 マイケル・ピット

見てて楽しい映画ではなく、ただただ不快な作品であるが、必見。



理由もなく(若者側には理由がある)、ゴルフパッドで殴られ骨折するお父さん。
理由もなく(       〃      )、いきなり殺されるペットのワンちゃん
クッションカバーを被せられ、理由もなく(〃)ライフルで撃ち殺される子供。
お母ちゃんは、すっぽんぽんにされ、最後は、ガムテープで口を塞がれ湖に
捨てられ殺される。

いずれも、理由はない。

ただ、若者の側には、そうしてもよい理由があるのだ。