【映画】ファニーゲーム と ファニーゲームU.S
ある家族が別荘地に休暇に行く。
行った先で、白い服の若者が二人、たずねてくる。
卵をください。
しだいに、若者は、ずうずうしくなり、ある瞬間から、暴行をふるいはじめる。
そのまま、暴力行為はエスカレートしていき、
気がつくと、ライフルで、家族の幼い子供を撃ち殺していた。
しかし、何事もなかったかのように、若者は、次の暴力へ、次の暴力へ。
物語は、なんの救いもなく、そのまま、家族が皆殺しにされる。
そして、隣の家に、若者らは移動し、「卵をください」
ただ、これだけの作品。
しかも、US版という、第二作目は、同監督、同脚本、同じカットで、ただ違う俳優で
撮りなおすという、何がしたいのか、よくわからない作品。
監督は、ミヒャエル・ハネケ。
氏いわく「暴力は不快なものだと再確認してもらいたかった。」とのこと。
驚くことに、このコメントに対して、「(自分が思う)正義の暴力は、かまわない」という
コメントが、つけられているサイトを結構たくさん目にする。
作中の家族に暴力をふるいつづける若者も「自分が思う正義で暴力をふるっている」
それは、”不快だから”、暴力で拒否しているのではなく、
”暴力を肯定し、暴力に依存し、暴力を愛し、勝ち誇る喜びをもって、相手を悪党と見下している”姿が、そもそも「不快」なのである。
若者の立場にとっては、正義の暴力。
しかし、家族にとっては、理不尽な恐怖。
そして観客である、わたしたちにとっては、理由無き無差別殺人。
ゲーム感覚のシリアルキラー。
本作は、正義の暴力など存在しないことを、強く訴えかけてくる。
そして同時に、むしろ、純粋な「人の欲望」であることを、描いている。
US版の、家族は、おとっつぁんが ティム・ロス。おかっつぁんが ナオミ・ワッツ。
若者の1人が、ハマリ役 マイケル・ピット。
見てて楽しい映画ではなく、ただただ不快な作品であるが、必見。
理由もなく(若者側には理由がある)、ゴルフパッドで殴られ骨折するお父さん。
理由もなく( 〃 )、いきなり殺されるペットのワンちゃん
クッションカバーを被せられ、理由もなく(〃)ライフルで撃ち殺される子供。
お母ちゃんは、すっぽんぽんにされ、最後は、ガムテープで口を塞がれ湖に
捨てられ殺される。
いずれも、理由はない。
ただ、若者の側には、そうしてもよい理由があるのだ。