★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

MS ACCESS で社内の合理化はできるのか?

プログラムも組めるし、データベースとしても成り立っていて、パッケージソフトに比べれば安いし、ちょっと勉強すれば社内で、プログラムを組めそうだし、費用も安いし、自社にあったものが出来るだろう、ということで、MS ACCESS を導入する会社さんも、けっこうある。

ところが、次のことが起こる。

・LANで共有できるはずなのに、LANで利用するとデータが書けないことがあったり、停止したり、時にはデータが壊れたり、また、処理速度も異常に遅い。

・社内のリクエストに答え、どんどん改造していくのだけども、かえって合理化が停滞しているケースもある。

・結局、時間ばかりがかかって、人件費などを考えると、失敗しているような気がする。

ついには、あきらめてしまたり。。。。

つちのこの仕事でも、この相談が非常に多い。

なぜ、こうなってしまうかといえば、

まず、「そもそも、MS ACCESS は LAN には、あまり、向いていない。」

LAN では、当然、同時にデータを参照したり、同時にデータを書き込んだりするが、一般的なクライアント-サーバー型のデータベースのような、「同時のとき、どうするか」という、排他処理などの機能が充実していない。
そのため、互いにデータを同時に書き込もうとすると、処理がぶつかって、どちらも動けなくなってしまうし、また、キャッシュという一時記憶の機能の都合で、処理に遅延があり、データの同期が取るのが難しい。

こういうと、技術的なことなので、「なんだ、そりゃ?」ということになるのだが、
カンタンに言えば、「ACCESS で LAN をしようと思ったら、相当、高い技術力と知識が必要になる」ということである。

もっと、くだけて言えば、1ヶ月かかって入力したデータが、ある日、消えてしまったら、どうだろう。
また、しょっちゅう止まってしまうなら、どうだろう。
かなり困る。

次に、「ただ各部署のリクエストに答えるだけでは、合理化はできない。」

各部署のリクエストは、もちろん、歓迎すべきではあるが、時に、「単に、自分が楽をできるから」というだけの理由でのリクエストも多い。たとえば、「この入力をするのは、めんどうくさいので、こっちから自動で持ってきてほしい」などなど。
最初のうちは、これでも、立派に、少しは合理化・効率化が進むことになるのだが、ある程度まで進むと、矛盾が生じたり、整合性がとれなくなったり、大事なデータを、誰も入力していなかったり、と、システムの根幹が崩れだす。
自分たちの都合のよいように、改造できることが、かえって、弊害になってしまっているかのようだ。

MS ACCESS では社内の合理化は、結論からいえば、「かなり難しい」。

もちろん、ACCESSデータベースの排他処理を理解してプログラムを書き、社内全体を考えて、合理化の目的を明確化し、つくるべきはつくり、つくらざるべきはつくらない、と、きちんと、システム・エンジニアリングを行うなら、中小企業の場合なら、MS ACCESS でも十分に合理化は可能ではある。

敷居は高い話だが。

いずれにしても、「パソコンさえ買えば合理化が完了する」のような誤解と同様、「ソフトさえ買えば、それで合理化が進む」わけではない。なにしろ、それらは、ただの”道具”に過ぎないのだから。