★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【IoT】mbed と 趣味のはんだ付け:プリント基板を手で作る 篇

IoTデバイスは電気回路。つなげば動く。のだけども、電気回路もまた電子部品をつなげば動く。昔はユニバーサル基板やラグ端子板で、せっせと足のついた電子部品を配線・はんだ付けし、ものすごく時間がかかった。昨今ではブレッドボードという非常に便利なものがあり、差すだけで電気回路を構成することができるようになった。

とはいえ、米粒大のチップ部品では、さすがに差すだけ(ってどこに?)は出来ないので、(ユニバーサル基板にはんだ付けをするのもアリだけど)結局は、プリント基板を作ることになる。mbed の道ははるかに遠い(って、そこからかい!)

筆者が昔プリント基板を作る際には、銅箔をはった板に、油性マジックか、レジストテープを貼って、エッチングという作り方しか出来なかったが、当然ながら、米粒大のチップ部品には対応できない。

しかし、今は、けっこう良い道具・材料が揃っていたりするので、昔よりは手軽に基板製作が可能になった。(といっても、ものすごい手間がかかるのは間違いないわけだが(笑))

① フリーのPCBCAD:KiCAD

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回路図は手書きでも何でもよいが、プリント基板を作るとなると、アートワーク出来ないと苦しい。ちまたでは EAGLE(独CadSoft社製) がよく使われている。ただし無償で使えるフリー版では基板の大きさ、層数に限りがあるので、完全フリー/オープンソースKiCAD を使ってみた。

KiCADについては 

kicad.jp | オープンソースのPCB CAD『KiCad』の日本ユーザ コミュニティです。

に詳しい(ダウンロードもできる)

CADはどれもこれも操作性にクセがあり、KiCADもご多分に漏れずクセがある。基本的なところはどれも似たようなものだが、KiCADの場合、Windows OS のファイルシステムやデータベース構造などを理解していないと「これ、ひょっとしてバグ?」というようなところが何カ所もある。とくに、回路図を描く際の部品=モジュールの登録・編集と、PCBアートワーク時のモジュール登録・編集の、アーキテクチャの違いは混乱する(笑)また、EAGLE に比べ、ユーザーが少ないせいなのか、部品のライブラリがインターネット上に、あまり落ちていない。

とはいえ、回路図から出力されるネットリスト(配線の接続構造)から、実際のフットプリントを割り当てることが柔軟に出来ることや、基板の大きさや層数に制限がないなど、よい面もかなりある。

筆者はこれまで回路図は手で描いて・・・しか、やったことがなく(笑)とにもかくにも自動で結線、チェックまでしてくれる”賢さ”に驚いて、最近は KiCADばかり(笑)

ドがつく素人まるだし状態だ(笑)

②KiCADからアートワークを印刷

f:id:tsuchinoko118:20150809065753p:plainCADを使う目的は、エッチング用のアートワークを印刷することにある。

(最近は、データを入稿すれば、基板をオンデマンドで作ってくれるところが、いくつもあるので、CADからデータを基板屋さんに送るのが最大の目的・・・だったりもするが、この話は、また後日)

インクジェットプリンタで、光沢紙(あればOHPフィルム)、高精細、モノクロを指定して、かなりクセのある KiCADの操作パネルを設定し印刷すると、”マジック手書き”や”レジストテープ”では不可能な美しいアートワーク(笑)が印刷される。 

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 印刷する用紙は、サンハヤト社の「感光基板のアートワーク用インクジェットフィルム」。

ただし、このフィルムがものすごいお値段する。おおよそ1枚500円。

インクがすぐ乾く、かなりきれいに印刷される(やってみたら 0.35mmmまでは全然平気、0.2mmあたりまで大丈夫だった)、など、非常によく出来たもので、たしかに「高密度」パターンフィルムが製作可能だ。

しかし高コスト。というわけで、少しでもコストダウンするなら コクヨ OHPフィルム が おすすめ。

試してみたら品質そのものは、あまり変わらない。ただし、乾くまで非常に時間がかかるのと、フィルム同志が粘着してくっついてしまうので、失敗のことを考えると、あまりコストダウンにはならないかも。

 

www.amazon.co.jp

③ クイックポジ感光基板

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まず、サンハヤトの粉末現像液をお湯に溶かす。温度計で38℃を確認してキープ。筆者はパッドを2枚重ねにして、下にもお湯をはって温度管理している。うまくいきやすいのは35度~40度あたり。ここをはずすと、現像失敗、エッチングも失敗と、高コストなクイックポジ基板を廃棄してしまうことになるので、厳密に。

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バキュームクランプで、先ほど作ったパターンフィルムと、サンハヤトのクイックポジ感光基板を圧着する。必ずする。これをしないと、パターンがボヤけて、高密度パターンの場合は失敗する。

次に感光基板の説明書にある時間+ちょっとで、紫外線照射。すると、さほど色が変わったとは思われないものが出来上がる。

ここで、特記したいことは、サンハヤトのクイックポジ感光基板を使う時は、サンハヤトのバキュームクランプ、サンハヤトライトボックスを使うこと。というのも、化学反応を利用しているため、自作蛍光灯ライトボックスなどなど別の環境だと、成功する条件=時間などが合わず、とにかく失敗しまくりになるから。ここは大人しく純正で揃えた方がよい。

f:id:tsuchinoko118:20150809072216j:plain筆者も、この高コストをなんとかしようと、富士薬品工業の ポジ型フォトレジスト FPPR #200を試してみたが、とにかく、うまくいかない(笑)感光基板をうまく作れない、ようやく作れたと思ったら、今度は感光時間などが(自作はムラがあるため)一定しないなどなど、高密度なPCBアートワークで利用するには無理があるようだ。ここは大人しくサンハヤトの既製品で(笑)

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規定の紫外線照射が終わったら、38度あたりの現像液で、しゃばしゃばする。すると銅箔にくっきりとアートワーク(フットプリント)のマスクが浮き上がる。これを水洗いする。

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これをエッチング液(第2酸化鉄溶液)にドボっとつけて、マスクを溶かす。

エッチング液はサンハヤトのものでなくても銅版画用に「腐食液」というものが売られている。こちらの方が安いし、性能も大して変わらない。しかしエッチング液は、廃液処理をしてからでないと捨てられないので、何らかの中和が必要になる。(必ず廃液処理は必要!そのまま流し台やトイレに流してはいけない!!)サンハヤトエッチング液には廃液処理用の中和剤もセットになっているので、このあたりでコスト計算をする必要がある。筆者は、4Lの腐食液と、20Kgの石灰で、いったいどこに置くのかと、保管場所の問題で断念した(笑)

業者に廃液処理を依頼するというのではない限り、サンハヤトのを使った方がよいと判断した。

出来上がった基板には、まだマスクがついているので、再度、紫外線照射をして現像液でしゃばしゃばすると、きれいに取れる。

エッチングについては、湯煎する、もみもみするなど、いろいろと手法があるようだ。

エッチング液を40度~50度に暖め、常に攪拌すると、なかなかシャープなものができあがる。そんなわけで、結果的には、やはりサンハヤト社のエッチング層と、ぶくぶく泡の出る装置と、エッチン液でも溶けないヒーターを導入することとなった。

手作業よりもはるかに効率がよく、なおかつ、よいもの(実用的なもの)が出来る。

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穴を開けて、切って、ようやく基板の完成。

銅箔は放っておくとさびるので、フラックスを塗っておく。

また、このあと、ソルダレジストを行うといいのだが、非常に面倒で大変なので(しっかりやってみて、失敗している。たぶん大きな基板で、それなりの道具があれば、きちんと出来るのだろうが、手作業では、やたらとしきいが高い。そこまでやるのなら基板屋に出した方がよい(笑))あきらめることにする(笑)

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できなくはないが、ものすごい手間ヒマがかかるわりには思うようにはいかない(笑)

このあたりの「ハウツー」は

www.sunhayato.co.jp

オリジナル基板作成ステップ | エレクトロニクス分野をサポートする製造メーカー サンハヤト株式会社

に詳しい。

 

④メタルマスク・ステンシルの製作に失敗

本来ここで、クリームはんだ塗布ようのマスク:ステンシル=通称メタルマスクを作るのだが、なかなかうまくいかない。がんばって作るよりも、業者にメタルマスクの製作を依頼した方がよいと思った。

が、どうしても必要というわけではないことがわかったので、失敗記録を残しておくことにする。

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まず最初に試したのは、カッティングプロッタで、防水紙(ポリプロピレン合成紙)をカットする。KiCADから、DXFでステンシル用のデータを出力し、プロッタに添付の氏ソフトに読み込んでカット。

動作そのものには問題がないが、0.nという小さなものが、並んでいると、ものの見事に紙が破れる(笑)紙の素材や、プロッタの調整など繰り返してみたが、ある程度スキマのあるものではうまく行くこともあるが、QFP や狭ピッチものがあると、ほぼ全滅した。この方法には無理がある。

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次に試したのが PnPという PCB用のアイロンプリント。一昔、流行していたようだ。

マスクのパターンを、青い用紙に印刷、銅板を挟んで、ラミネーターで(アイロンで)圧着すると、そのまま転写される。

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すると、ホコリやゴミ、用紙の曲がりやデコボコで、とにかく、まともに転写されない(笑)エッチングしてみたら、かなり近いイメージにまで到達するものの、意図しない穴が開く(笑)なお悪いことに、1mm 未満の位置が狂う。これはアイロンプリントという仕組み上、仕方がないのかも知れないが、ともかく使えないことがわかった。

 

⑤顕微鏡でハンダ付け

ステンシルが製作できないことがわかったので、クリームハンダ塗り込みで、リフロートースターという計画は失敗、関連機材は全て、押し入れに放り込まれることとなった(笑)

と、同時に、

ハンダ付け職人のはんだ付け講座 株式会社ノセ精機

というサイトを発見した。はんだ付け講座。多くの場合門外不出のノウハウを公開している滋賀県の企業で、リーマンショック時に取引先の大手から切り捨てられ倒産の危機に見舞われながらも、開き直って?始めた事業が「ハンダ付け講座」。というドラマティックな企業のようだ。


3216チップ抵抗、チップコンデンサのはんだ付け(実装) - YouTube

そこでモノタロウの顕微鏡を導入、明るくするライトをつけて、見よう見まねで「はんだ付け」をやってみることにした。

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やってみたら、できた(笑)

クリームはんだを塗布して、あらかじめ部品を載せて、お蔵入りしたトースターで焼いてみたら、なかなかいい具合になった。部品点数が多いと大変ではあるが、それでも、ステンシルも、ソルダレジストもなしで、できることはわかった。

無論、高密度すぎると「はんだコテ」や「ピンセット」が入らないので、どうしても、ある程度の空間が必要になるが、そこまでの小型化はしないので、全然かまわない。

 

⑥ QFN系は、ヒートガンで、はんだ付け

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ワークステーション858D というヒートガン=500℃くらいまで吹き出せるヘアドライヤーみたいなものを発見したので、サンハヤトの「特殊クリームハンダ」という注射器型のハンダを塗り塗り、ピンセントで部品を置いて(もちろん顕微鏡で)風力と温度を調整し、リフローのプロファイルを参考に、熱すると・・・

うまくいった。

ここで、思わぬ「はんだボール」に悩まされることになるものの、これは工場の自動挿入?でも起こるということらしいので、仕方がないとあきらめて・・・(汗)

ともかく、こちらも問題なく作れることがわかった。

 

⑦ まだまだ遠い mbed(笑)

そんなわけで、まだ mbed が出てこない(笑)

これは、電子工作として既製品を接続するだけで mbed みたいにするのではなく、作った回路を mbed で制御(若干語弊有り)しようという主旨 なので、mbed のために基板から作るという話しになっているためで、ホントの mbed は、もっと身近にある(笑)

この後、ここに書き切れないほどの実験を繰り返し(例えば、鉛フリーのハンダだったらどうなるのか、基板屋に基板を作ってもらったらどうなるのか、どうすればもっと成功率が上がるか品管志向、クイックポジ基板で両面基板作成のコツ、スルピンキットによるスルーホールの作成などなど)、おおよそなんとなく、現代風のハンダ付け・基板製作が、ちょっとだけわかってきて、それからようやく mbed (笑)

 

 

 

 

【IoT】mbed と 趣味のはんだ付け:リフロートースター篇

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携帯電話がインターネットに接続できるようになりスマートフォンに変革していったように、近年、さまざまなものがインターネットに接続できるようになっている。

カーナビがインターネットに接続され、レーダーが接続され、車本体も接続され、メガネが接続され、万歩計が接続され、スマートウォッチが登場し・・・といった流れは、ウェアラブル機器と呼ばれたりすることもあるが「 IoT = Internet of Things = モノのインターネット 」と総称される。

”モノのインターネット”は直訳すぎて、なんだか変な日本語のように筆者は感じているが、ともかく、何でもかんでもインターネットに接続しようというイノベーションである。f:id:tsuchinoko118:20150807071028p:plain

当然ながら IoT をやろうと思うと、何らかの「デバイス」=機器が必要だ。

既存の(市販の)デバイスを選んでネットにつないでもよいが、筆者は「何でもかんでもつくります」なので、「 IoTデバイス 」をつくるところから始めることにした。

「 IoTデバイス 」をつくるとなると、マイコンを中心に、さまざまなセンサや EtherNet用の回路を組み合わせて・・・と、ものものしいが、近年「 Arduino 」などの開発システム≒自作電子工作の環境が整い、手軽に(?)マイコンシステムを開発できるようになった。このため、敷居が低くなり「 IoTデバイス 」をつくることも比較的容易になった。すくなくとも、筆者的には Android アプリの開発の前準備よりは、手軽だと思っている(笑)

そこに登場したのが「 mbed 」。Android デバイスではお馴染みの CPU = ARM Cortex の ARM 向けの開発環境で、C++言語を使った オンラインコンパイルが可能なもので、mbed対応のマイコンボードがあれば、比較的容易に、つなぐだけで IoT が出来る。

昔「学研の電子ブロック」というアナログ回路を構成する学習ボード(?)があったが、あれの ARMマイコン版だと思えばよいかも知れない(違う?笑)

mbed の詳細については、別コンテンツにお任せするとして、とりあえず「 Lチカ 」を試した後は、mbed で開発できる電子回路をつくることにして、まずは「はんだ付け」から・・・・(そこからかい!)

というのも、筆者が昔、電子回路をつくっていた頃は、足のついた抵抗器や、そそりたつコンデンサだったものが、今は小型化小型化省電力で、米粒のような小さい部品だらけになり「こんなの、どうやって、はんだ付けするんだろう!?」だったからである(笑)

いろいろと調べていくうちに「表面実装:リフロー」に出くわし、リフロー装置をつくるところから始めることにした・・・・・(そこからかい!)

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市販のオーブントースターをバラして、上下のヒーターのオン/オフを制御して、自動的に庫内の温度を調整。

リフロー装置としてみた。

 

 

 

 

 

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基板に、クリームはんだを塗布、米粒大の 1608チップ抵抗と1608チップLEDをのせて、リフロートースターで焼くと、クリームはんだが溶けてはんだ付けされる。

通電すると LED が点灯するだけ(笑)

リフロートースターの動作は良好だ。しかし、こんなに簡単な回路だから簡単にできるけれども本格的な回路となると、非常に多くのランドにはんだを塗布、非常に多くの部品を載せないといけない。そこで、メタルマスク=ステンシルを製作しようと、いろいろ試みるも失敗を繰り返し、別の方法を見いだしたため、このリフロートースターはお蔵入り、押し入れに片付けられることとなった(笑)

続きは次回・・・

ぜんぜん mbed が出てこないが、mbed への道ははるかに遠い(笑)

【PC】Visual Studio 2015 Community と Setupプロジェクト

f:id:tsuchinoko118:20150802074321p:plain先日 windows10 が公開され、windows7以降のPCでは無料アップグレードが可能となった。その裏で(?)windows用ソフトウェアの開発環境である Visual Studio2015が公開された。

2010/(2011)/2012/2013...と毎回毎回アップグレードをしているので、2015もアップグレードしようと思ったら、2015 Professional版というのが見当たらず Professional with MSDNサブスクリプションしかないようで、哀しくなり、とりあえず(すぐに使おうという気がないので)Community版というフリーのバージョンをダウンロードしてみた。

(後でよくよく調べてみると Professional版:MSDNなしもあるようだ。購入ページが見当たらないので、後日ってことなのかも知れないが)

Community版とは 2013あたりに登場したフリー版で、それまでは C++C#VB用・・と 開発言語によって独立した Express版だったものが Professional版のように統合されたものである。だったら Professional版買わなくてもいいじゃん(ライセンスにもよるけれど)というほどのものではあるが、Setupプロジェクト・インストーラーを作成する機能がついてこない。

Community版と Professional版の違いはSetupプロジェクト・インストーラーを作成する機能があるかないか。

というわけで、Professional版を買うしかないか・・・と思っていたら、

Microsoft Visual Studio 2015 Installer Projects extension」というものを発見した。

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これはこれは、往年の「Setupプロジェクト」そのままではないか。

2010までは Windows用のインストーラーとして「Setupプロジェクト」が用意されていたが、2012以降、廃止。Professional版には Install Shield がついてくるという体裁になった。筆者個人としては インストーラーに高い付加価値を求めていないので(笑)普通にインストールできるだけで構わないこともあり Install Shield である必要もなく、クセのある UI,アーキテクチャには少々不満であった(笑)「Setupプロジェクト」が欲しい~。と。

2013でも既にあったようだが、Install Shield をあきらめて使っていたので気がつかなかった。

ただし Community版に、普通にこの機能をインストールしようとすると、Professional版じゃない、と怒られる。いいのか悪いのかわからないが Q&A に、レジストリを設定して、あたかも Professional版をインストールしているように見せかけると、問題なくインストールできる。(もう一度。いいのか悪いのかわからないが。)と書いてあったのでさっそくやってみると難なくインストールできた。

とにもかくにも、これで「Setup:インスト-ラー」の問題は解決した。

 

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 また、従来は Xamarin( MONO )からサブスクリプションを購入しなくてはいけなかった C#iOSアプリ開発・C#Android アプリ開発の機能も、最初から組み込まれているようだ。

このあたりは .NET Framework の オープンライセンス化や スマートフォンに大きく遅れをとり APP StoreGoogle Play に比べて ストアアプリがない(極端にない!)と揶揄されている現状打破のためのマイクロソフトの汚名返上戦略があるのかも知れない。

もちろん クラウド:Webアプリ用の ASP.NET MVC も組み込まれている。

 

iOS用には XCode(または Swift?)。Android用には Eclipse。Web用には DreamWaverと PHPの開発環境と・・・気がつくと、マルチな開発が希求される状況になっていて、開発言語の違いもあれど、いちいち IDE(エディタ)を変えて、それをいちいち覚えなくてはならず、というのは、非常に面倒ください。

このあたりを解決する一助として Visual Studio は優れている。(と思う(笑))

 

また、お馴染みのコードスニペット(入力すると連想して、入力を補完してくれる機能)も筆者的には Visual Studio のが非常に洗練されていると思ったりしている。キーボードの使い方が、熟れているところがとくに。

対応するカッコの色が変わってくれたらな~と思っていたら、2015 では、それも追加されていた。ますます Visual Studio ファンになってしまいそうだ(笑)

 

あとは Visual Studio の話しではないかも知れないが、Windows 10 で、Windows Phone や RT といった、いちいち異なる仕様のコードを書かなくてはいけなかった点が、どのようになったか。これは、今後検証しながら使い込んでいくことになる。

今日び BLE を デスクトップから呼べない・・・・RT の API を呼ばないといけない・・・って、どんな仕様だ、と思ってたりしてたので。 

 

もうひとつ。 AVRには Arduino。 ARM32bit には mbed 。 来たるべき IoT時代に向けて Windows 10 IoT なるものがあるが、はてさて・・・・

(mbed 対応の C# で書ける IoT ・ GR -PEACHってなものもあるけれど、マイクロソフトはどうしていくつもりなのだろうか。ARM mbed に乗っかっていくつもりなのだろうか)

【映画】ターミネーター:新起動 ジェニシス

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T1〜T3でタイムパラドックスが起きてしまい、T1の時代 1984年5月12日(木)のロスアンゼルスでは、未来から送られて来たターミネーターは、T-800とサラ・コナーにより瞬時に破壊され、同じく未来からやって来たカイル・リースは、いきなり 液体金属のT-1000 に襲撃される。サラに助けられ、危ういところから難を逃れたカイルは「おじさん」と呼ばれているターミネーターT-800 と、事態に詳しく戦闘能力も高いサラに、聞いていた話と違うと戸惑う。タイムパラドックスが起こり、サラの幼年期にすでにターミネーターが現れ、すべてが変わったこと、そしてサラはタイムマシンで「スカイネット」の起動前に、起動を阻止することで、この事態そのものを止めようとしていること、さまざまなリブートの事情を話すサラ。カイルとサラはスカイネット=新OS:ジェニシスの起動を阻止すべく時間を超越。そこには、未来で戦っているはずのジョン・コナーがいた。

しかし実はジョン・コナーは、ナノロボットにより細胞レベルで分解され、再構築された T-3000 ターミネーターとなってしまっていた。サラとカイルを阻止し、新OS:ジェニシスを無事に起動させることが彼の任務。ジェニシスの起動時刻が迫る中、サラ、カイル、「おじさん」ことT-800 。そしてジェニシスことスカイネットT-5000 と ジョンことT-3000 の最後の戦いが始まる。

 

通算して5作目のターミネーターシリーズ最新作である。体裁として1作目〜4作目の流れを受け継ぎつつも、そういうわけでタイムパラドックスが発生と、1作目にリブートする構造で、うまく考えたと言えばよいのか、ご都合主義と言えばいいのか、わからないが、弱く叫んで逃げるだけだった1作目のサラ(最後は気合い入りまくりだったが)が最初から黒い革ジャンで、銃撃戦を繰り広げる”イマ風”の戦うヒロインになり、カイルは、これまた”イマ風”の草食男子っぽい演出がなされている、ともかく、リブート3部作の1作目だそうである。

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カルフォルニア州知事になり4作目には登場しなかったアーノルド・シュワルツェネッガー(CGで無理矢理登場していたが)も、老いた、その姿そのままで、「初老のターミネーターT-800」=守護者:ガーディアンとして出演。激しいアクションはあまりないものの、周辺のサラや、T-1000,T-3000が大暴れで、火薬の量の多さは、人類vs機械をそのまま描いた前作T4 よりも激しいのではないかと思うほどだ。

冒頭からいきなり シュワちゃん vs シュワちゃんだったり、イ・ビョンホンのT-1000 襲撃だったりと、”イマ風”のストーリー展開で、1時間半くらいまで全く息をつく暇もないバトルアクションシーンが続く。

それでいて、話が複雑なので、T1〜T4 に比べ非常に話がわかりづらい。

演出や登場人物、シーン、オチなどが、どれもこれも T1〜T4 既出のものも多く、「詰め込みすぎ」感は否めなかった。

例えば、イ・ビョンホンのT-1000 は必要だったのか?後で出てくるわけでもないし、ものすごい無駄というようなことだ。ファン・サービスなのか、オマージュなのか、既出のシーンが繰り返されることも少々うざい。

最近のことなので、CGが多く、生のアクションが少ない分、迫力不足にも陥りがちなので、この点も、もう少し整理すればよかったとも、思ったりした。

上映時間は150分(2時間半)。話の内容は大作ではなく、あくまでもB級レベル(笑)なので、1時間40分〜2時間程度までは詰められたのではないかと。

いっそのこと、ややこしいことはしないで、単なる1作目のリメークでもよかったのではないかと。。。思いはしたものの、本作は、シュワルツェネッガーあっての作品なので、やはりこうするしかなかったのかな?という気もした。

個人的には、悪役と化したジョン・コナーは、前作のクリスチャン・ベイルだったら最高だったのに、と思ったりする。ベイルvsシュワルツェネッガーって、なかなか見られませんよ(笑)

それにしてもT1 〜T4 好評悪評ありながらも、毎回、その展開に驚かされたものだったが、今回のは、前作をなぞって混ぜただけ、ってな気もしなくもないので、シュワちゃんがニカッと作り笑いをして「よろしく」というシーンがなかったら、あんまり面白くなかったかも知れません(笑)やっぱり本作は、シュワルツェネッガーあっての作品ですね。

とりあえずT-3000 ジョン・コナーの設定が、ジョンの偽物とか、データ再現ではなく、ジョン本人だというのが、どうにも違和感があって・・・・(汗)

 

イ・ビョンホンの T-1000が使い捨てだった演出はよかったです(笑)


映画『ターミネーター:新起動/ジェニシス』第2弾予告編 - YouTube

【映画】レフト・ビハインド

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航空機パイロットのレイは、ここしばらく妻のアイリーンと、いまひとつうまくいってない。アイリーンがキリスト教にどっぷりで「家族よりも神」だったからだ。そのせいもあり、CAのハーティと不倫関係にもなっていた。誕生日なので家族で集まり、祝うその日、レイの娘クローイも帰省してくるのだが、仕事だ、と家には帰らず、ロンドンへのフライト。その時、突如として、大勢の人々が姿を消した。

一瞬にして服だけ残して消えてしまったのだ。どうやら、世界中で人間が消失してしまったらしい。レイの操縦するフライト中の飛行機も例外ではなかった。

副操縦士が消えてしまい、別の飛行機と接触、燃料漏れが発生。いちはやく、どこかの飛行場に着陸しなくては、墜落してしまう。しかし、どこの管制塔とも連絡がとれない。レイは思い出す。妻のアイリーンが、聖書に書かれている「携挙」について、いつも語っていたことを。

聖書が語る世界の終わり。イエス・キリストを信じる者は一瞬のうちに天空に挙げられ、キリストと空中で会う。信じていない者は、そのまま地上に残され、大患難の中に取り残される=レフト・ビハインド、ということを。

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世紀末にノストラダムスの大予言や、世界の終わりがやたらと流行っていた時代に、ティム・ラヘイ牧師によって書かれ、大ベストセラーとなった「レフト・ビハインド」を原作として、映画化された作品である。

過去に一度「邦題:人間消失」というスゴイ名前の3部作で映画化されているので、リメイクということになると思うが、聖書の終末論で登場する「携挙」の後、地上に取り残された人を中心に、ヨハネの黙示録の預言が成就していく地上の話を描く。

(患難前携挙説という立場をとった作品で、ヨハネの黙示録そのものを現代劇として書いているような作品である)

旧3部作では、中東の戦火から始まり、飛行機の携挙、地上の携挙は軽く流して、ニコライという悪魔の子(オーメンのダミアンみたいなキャラ)と超能力戦争になったりというもので、主人公はジャーナリストのバックだったが、原作者の牧師が怒って訴訟するなど、かなりの酷評で、ほとんど打ち切りみたいな状態で終わってないのに終わってしまったようだ。(筆者的には、あのショボさ、できの悪さは、なかなか好きだったのだが(笑))

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世紀末も通り抜け21世紀に入ったこの時期に、どういういきさつで、世紀末ものオカルトパニックな本作をリメイクするに至ったのかはよくわからないが、ニコラス・ケイジ主演(レイ役)で2014年にリメイク~日本ではクロックワークス配給で2015年に公開されてしまった。

おそらく原作には忠実なのかも知れないが、キリスト教の話は、ほとんど出てこない。携挙があった、飛行機が落ちそうだ、さあどうなるどうなる、という展開で、エアポート2015 かと思うような内容になっている。携挙があってもなくても、飛行機が墜落しそうだパニックムービーなので、レフトビハインドである必要性がないような気がするし、そうなると、家族の確執=宗教嫌いなどが、ほぼ無意味なストーリーになりと、脚本的にも演出的にも、よろしくない。

ぶっちゃけ言ってしまえば「ぜんぜん全く面白くない」作品であった。

(しかし原作者は喜んでいるらしい)

どうやら、またもや3部作になるようで、その序章であるからこうなのだ、と言われればそれまでだが、どもかく、全く面白くないことは事実だ(笑)

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次作(ほんとうに作るのかどうかナゾだが)、トリビュレーション・フォース(大患難部隊)では、反キリストと戦うためのキリスト教信者という話が主軸になるので、たぶん、もうちょっと面白くなるのだと思うが、内容以前に、なんでこんなに、ひどい脚本と、ひどい演出に、ひどい演技で、完成させてしまったのか、理解に苦しむ。

宗教色を強くしてでも、もっと、レイ家族を中心に、キリストを語らせた方が良かったのではないか。なんとか、わかりやすいパニック映画仕立てにしたところが大失敗であるように感じる。これなら旧作の1作目の方がよっぽど面白かったですよ(笑)


突然多くの人間が消えてしまった!映画『レフト・ビハインド』予告編 - YouTube

【映画】MAD MAX 怒りのデスロード

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2000年代初頭、約20年ぶりに MAD MAXシリーズの新作(第4作目)の企画が持ち上がり、スクリプトは出来上がっていたものの、あれやこれやで延期され製作中止も危ぶまれたが、ようやく公開。原題の MAD MAX FURY LOAD というタイトルはそのままだが、なぜか邦題が「MAD MAX 怒りのデスロード」と、なんとも酷いタイトルになってしまった。が、ともかくMAD MAX シリーズ第4弾が30年ぶりに公開と相成った。

第4弾なので続編なのかというと、もともとMAD MAX は、主人公がマックス・ロカタンスキーだというだけで、とくに前後のつながりはなく、一部では”リブート”とも言われているようだが、リブートも続編もないのではないかと、筆者などは思ってしまったりする。 

3作目までは主人公マックスは、メル・ギブソンであった。企画段階ではメル・ギブソンも出演しそうな気配だったが結局、トム・ハーディが主役を務めることになった。

ヒロインといっていいのかどうかわからないが、共演にシャーリーズ・シェロン。あとはまあ、あんな妙ちくりんなキャラクター、誰だって構わない(笑)

 

f:id:tsuchinoko118:20150620174919j:plain近未来(なのかどうかよくわからなくなってきたが)核戦争により世界は崩壊し、荒廃し、汚染され、”暴力と速度”だけが生き残り、人々は、小さな集団をつくり、日々、略奪と戦闘に明け暮れていた。

水と緑を持つ砦「シタデル」のカルト教団のような集団「ウォーボーイズ」に捕まってしまったマックスは、鎖につながれ白塗りの男ニュークスの輸血袋とされてしまった。片腕義手の女性戦士フュリオサは、水と他の資源を交換すべく「ウォータンク」でシタデルを出発したが、実はシタデルの支配者イモータン・ジョーの5人の妻を隠し連れ出していた。フュリオサの故郷「グリーン・プレイス」に、共に逃げるためであった。

妻を奪われたことに気づいたイモータン・ジョーは、妻を取り戻すべくウォーボーイズの白塗り戦士たちと共に、改造車に乗り込み、ウォータンクすなわちフュリオサと5人の妻達を追った。追跡行の最中、輸血袋とされていたマックス、そしてニュークスは、フュリオサと合流。イモータン・ジョーの武装した追跡者たちと戦う。

 

f:id:tsuchinoko118:20120711113844j:plainお馴染みの「あるようで、ないようなスクリプト」に、異様な世界観と異様なキャラクター。そして改造車とバイオレンス。いかにも MAD MAX な作品で、とにかく最初から、ひたすら続くカーアクション(といっていいのかどうかもナゾだが)に度肝を抜かれた。マックスが英雄然としておらず、結構弱くズタボロになる初番も、いかにも MAD MAX で、いい感じだ。これまでと同じノリを踏襲しつつも、本作で特筆すべきは「色気」。フュリオサという女戦士はさておき、肌を露わにする5人の妻たちという”色気”は、これまでのMAD MAX には見られない。しかし、それでストーリーが大きく変わるわけではないし、一見、サスペンスの題材になりそうな「この連中は何だ」とか「この砦は何だ」とか「この美女達に、いったい何が」とか、そういうバックボーンは全くないところは、いかにも MAD MAX だ。「すでに、こういう状況だ」「前から、こうなんだ」シチュエーションはさておき、改造車が駆け抜け、クラッシュし、爆発し、人がバンバン死ぬ。そのまま突っ切る勢いこそ MAD MAX であろう。

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ただ、本作では、最初からいきなり「マッドマックス2」のラストシーンのトレーラーアタックが始まり、全く落ち着くヒマもなく1時間を過ぎて、ようやく、少し落ち着いて会話が始まる、というような、文字通り MAD な オープニング・アクトで、正直驚いた。もう話も何にもないのだ。まさに怒りのデスロード(笑)

そしてこれ以上逃げても、先に希望があるのかないのかわからない(たぶん、ないのだろう)。だから「シタデル」に戻ろう、と、10分ちょいで決断したら、あとは最後まで、バトル・バトル・クラッシュ・クラッシュ。結局、本作の大半が、バイオレンス・アクションに満ち満ちているのだ。(ひょっとしてネタバレなのかも知れないが、こんな話も何にもないような作品、別に構わないだろう(笑))

全編ほとんどが、マッドマックス2のトレーラーアタックだと思えば、おおよそ間違いはない。

f:id:tsuchinoko118:20150620174933j:plain2時間ちょい、往年のヘビーメタル・ライブを大音量で聴いた、という感覚。あるいは、緩急まったくない高速で下り続けるジェットコースターに2時間乗り続けた、という感覚が正直なところである。

最近の作品なので、たしかに CG は使われている。しかし、基本的には肉弾戦のスタントと火薬の爆発。30年ほど前 MAD MAX 2 を劇場に鑑賞しにいったとき、「なんと MAD な作品なんだろう」と思ったものだったが、本作も、ひとことで言えば「MAD で むちゃくちゃな作品」生の映画のド迫力というものを、ひさしぶりに感じた本作であった。監督のジョージミラーに、若さとパワーを与えていただいた。そんな気分だ。なにしろ、こんな作品(失礼!)で、疲れるどころか、ものすごくリフレッシュされエネルギッシュな筆者なのだから(笑)


映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』日本版予告編 - YouTube

 

【映画】NY心霊捜査官

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エミリーローズで良質の「オカルト裁判」を描いたスコット・デリクソン監督による良質の「オカルト刑事ドラマ」である。

NY市警のラルフ・サーキ巡査部長は、他の人には見えないものが見えたり、聞こえない音が聞こえたり、”勘”のよいところがあった。人はそれを”レーダー”と呼んでいた。

ある日のこと、動物園で母親が子供をライオンの檻に投げ捨てるという事件があった。また妻に暴行を続ける夫という事件があった。これらの事件は無関係であるように思えたが、サーキには”何か”が見えていた。

事件には何者かに取り憑かれたかのような半狂乱状態の犯人と、ライオンと話すイラク戦争帰りのペンキ屋ミック・サンティノと、そして、一見して神父とはわからない長髪に革ジャンのジョー・メンドーサ神父がいた。

メンドーサ神父は、サーキの”勘”は”霊感”であり、その霊能力を使って事件を解決するよう助言する。サーキは、たった一人の「心霊捜査官」となり、事件の真相に迫るが、そこには想像を絶する恐ろしい存在が潜んでいた。それぞれの事件は、すべて、つながっていたのだ。

 

イラク戦争で派兵されたミック・サンティノは、そこで遺跡を発見、潜入、何らかの扉を開いてしまったらしく、何者か取り憑かれてしまう。帰国し、ペンキ屋となったサンティノは、壁に「INVOCAMUS」(召還の意)と書く。すると、それは扉となり、影響を受けやすい心の者が悪霊に取り憑かれる。悪霊は(サンティノは)次々と悪霊に取り憑かれた者をつくりだしていたのだった。

 

エクソシスト・コップ」という”実話”とされる原作があるらしく、このあたりは「エミリーローズ」と取り扱い方が非常に似ている。スコット・デリクソン監督のオカルト連作シリーズなのかも知れない。「エミリーローズ」では、主演女優の演技で全ての恐怖や絶望を表現していて、これといったVFX的なものはなかったが、本作では、VFXの嵐。気味の悪い死体造形のオンパレード。死体の腹が割れドス黒い内蔵が露出し、死体の目から虫がわき、全身複雑骨折の飛び降り死体、自傷で全身に血文字を描く男、R18なだけはある。

反面、イラクの遺跡のオープニングはエクソシスト。映像はセブン。陰影の濃い暗い画はエンゼルハート。聖職者とは思えない神父と神を信じない刑事、地下の監禁室での悪魔祓いは、エクソシスト3。オマージュというには多すぎる既出のシーン、見たことのある映像と話と演出が延々と続くのには、少々まいった。ハードボイルドで、良質のオカルトであることには間違いがないのだが、どこか大衆に媚びたヒット性を意識しすぎたところが見え隠れするのは残念であった。

せっかくの真面目な前半が、後半のてきとうな悪魔払いシーンで台無しにされた気がするのは、神父の罪・刑事の罪を、大してつついてこない悪霊と、それが昇華も浄化もされず、神の存在があいまいになっているところが原因しているように思ったりもする。

悪霊という陰の力の存在をリアルに描くのなら、物理学では存在証明さえ出来ない人知を超越した神の存在をリアルに示す必要があるだろう。エクソシストをオマージュに組み込むのならなおさらだ。また、エミリーローズを監督できるのなら、ことさらに、神の存在が不明瞭なのは、どうしたことだろうか。

どこかしら詰めが甘く、中途半端な作品であった。

一応「事実」なので、作品の最後に現実のサーキの”その後”が解説される。

市警を辞め、悪霊のスペシャリストたるメンドーサ神父と行動を共にしているとのこと。

だったらなおさら、単に「怖い悪霊」を描くのではなく、神とそれに背をそむける悪霊そして人間を描くべきだったのではないか。

疑問符のつく本作ではある。


映画『NY心霊捜査官』怖すぎる本編映像 - YouTube